ウソコイ

2001/7/3〜9/11 CX系(製作:関西テレビ・大映)
火曜 22:00〜22:54 全12話(放映11回)

【備考】

香港・シンガポールでは日本と同時の7/3から
放映、台湾では7/10、マレーシア、中国など
その他、アジア各局でも同時期に放送された。

第11回が放送された9月11日に全米多発テロが
発生し、放送は報道特番によって寸断されたため
6日後の15:30から急遽再放送が行われた。

【プロデューサー】

安藤和久 (関西テレビ)

佐藤直樹 有重陽一(大映)

【企 画】 植村泰之

【企画協力】 鴻上尚史

【演 出】 水谷俊之、片岡K、池添博、横塚慎一

【脚 本】 高橋ナツコ

【脚本協力】 田嶋久子

【通 訳】 パトリック・ハーラン

【音 楽】

五十嵐淳一(音楽プロデュース 岩井健郎)

【主題歌】

「セパレイトウェイズ」 フェイ・ウォン
作詞・作曲 カジヒデキ 【東芝EMI】

【挿入歌】

『原色の灯』 siren 【BMGファンハウス】

【出演】

鈴懸 彰 ・・・・・・・・・・・・ 中井 貴一

フェイ・リン ・・・・・・・・・・・ フェイ・ウォン

杉野 恵美 ・・・・・・・・・・ 仲間 由紀恵

角田 亮一 ・・・・・・・・・・・ 生瀬 勝久

本郷 剛 ・・・・・・・・・・・・ 中村 俊介

森村 ミチオ ・・・・・・・・・・・・ 大杉 漣

杉野 栄之助 ・・・・・・・・・・・ 布施 明

シズエさん ・・・・・・・・・・・・・・ 木野花

P・J    ・・・・・・・・・・・・・・・・ TEAH

大木戸探偵 ・・・・・・・・・・・・・ 鴻上 尚史

【ストーリー】

1流デザイナーを目指して日本に留学していた
フェイ・リンは日本での滞在期限が迫っていた。
どうしても日本でデザインの勉強がしたかった
フェイは、あるアイデアを思いつき実行に移す。

資産家の令嬢・杉野恵美(仲間)との結婚を間近に
控えたカメラマン、鈴懸彰(中井)は恵美と買い物を
している最中に外国人(TEAH)に財布を盗まれる。

彰がすれ違った男に財布を盗まれた事を告げると
恵美は『彰さんにケガが無くてよかった』と喜び
二人は多くの人に祝福され無事結婚式を挙げる。

ところが結婚式場で婚姻届の提出を任せておいた
彰が大学時代に登山部だった頃からの友人で
区役所で戸籍係をしている角田(生瀬)から

『オマエすでに結婚している事になっているぞ!』

という衝撃の事実を知らされる。

彰は、盗まれた財布に入っていた運転免許証から
戸籍を盗まれ、見知らぬ外国人女性フェイ・リンと
偽装結婚させられてしまっていたのだ。

一日も早く恵美との結婚を成立させたい彰は
専門家である角田にイイ知恵がないか求めるが
角田は相手の女性に離婚届にサインさせる以外に
この偽装結婚を解消する方法は無いと言う。

困り果てる彰だったが、何も知らない恵美は
幸せいっぱいの表情で結婚を喜んでいる。

何があっても彼女に偽装結婚の事を知られては
ならないと考えた彰は、探偵(鴻上)を雇って
フェイの住んでいる外国人アパートを突き止める。

そんな頃、フェイは有名デザイナー森村(大杉)の
オフィスをアポなしで訪れて追い返されていたが
大杉は彼女の残したデザイン画に興味を覚える。

フェイの住むアパートに乗り込み、何とかしてフェイに
離婚届にサインをさせようとする彰だったが、フェイは
自分には夢があるのでサインできないの一点張り。

その挙句、駆けつけた警察官に泥棒扱いされて
連行されてしまう彰だったが、警察に彼の身柄を
引き取りにきたのは、なんとあのフェイだった。

自由奔放なフェイに振り回されながらも
やがて彰は彼女の魅力に惹かれていく。

そんな中、恵美に密かに想いを寄せる角田が
彰の秘密に気付き出した恵美に接近し始めて・・・

【感想】

自由奔放で才気あふれる外国人女性・フェイ・リン

二人の女性の間で右往左往する主人公・鈴懸 彰

大人しくて一途に彰を慕うお嬢様・杉野 恵美

フェイに惚れて何かにつけて世話を焼く・本郷 剛

恵美に横恋慕して恵美と彰の邪魔をする・角田 亮一

この「ウソコイ」の人物設定は1999年にドラマ化された
「P.S.元気です、俊平(TBS系)」とほとんど同じ設定で
主人公・鈴懸彰とヒロインのフェイ・リンの性格も
ほぼ「P.S.元気です、俊平」の桃子と同じ設定です。

フェイ・リンは溢れるデザインの才能を持ちながら
ビザがないために日本でデザインの勉強が出来ず
仕方なく彰を偽装結婚に巻き込むのですが
やがて彰に惚れてしまい、彼のカメラが盗まれた時は
危険をかえりみずに彼のカメラを奪回に向かうという
一途なところを披露したりするのですが・・・

あらゆる行動が自己中心的で
何をするにも自分、自分です。

要するにフェイは「P.S.元気です、俊平」の桃子と同じく
美味しいところを独り占めのキャラなのです。

という事で、この「ウソコイ」という作品も
自分至上主義女と優柔不断男という
反吐が出そうな組み合わせなのですが

今回、仲間さんが演じる「杉野恵美」という女の子は
まるで『夜叉』のような「女の業」を感じさせた
「P.S.元気です、俊平」の「桜小夜子」役とは
真逆のキャラクターで、現実離れした良い子です。

とにかく恵美は「ただひたすらに良い子」なので
本来なら恵美はフェイと彰の恋路の邪魔をする
恋敵役のポジションに位置しているのですが

恵美があまりに一途で良い子なので
自分勝手なフェイが憎らしくなってきます。

おまけに、本郷剛(中村)とか角田(生瀬)という
物語のメインで登場する彰と恵美の知人までもが
なぜか彰と恵美の仲を妨害する奴等ばかりで
大木戸探偵(鴻上)だとか本郷剛にいたっては

自分の幸せのためにフェイの夢を
踏みにじっていいのか?

なんて事を彰に問い詰めたりする始末です。

こいつらは、良く知りもしない外人「フェイ・リン」の
夢のためなら彰と恵美タンのささやかな幸せは
踏みにじられてもイイって言うんでしょうか?

どう考えてもまともな人の言う事とは思えません。

さらに外国人アパートに住む不良外人どもだけでなく
入国管理局の係官と森村の秘書と角田を除いた
ドラマに登場する人物のほとんどが
なぜかフェイに好感を持ってしまいます。

挙句の果ては恵美タンまでが最終回に

「あなたに会えて良かった。」

なんて「TIRCK」「FACE〜見知らぬ恋人」でも使われた
セリフをフェイに向かって言ってしまったりします。

とにかく、ワガママ娘・フェイのやる事なす事が
すべて良いように解釈されるようになっています。

そしてフェイの味方になる人物はイイ人として描かれ
フェイの邪魔をする入管の係官や森村の秘書などは
滑稽なまでに悪党として描かれています。

反対に、恵美タンの味方と言える人物は作品中
恵美の父親(布施明)とシズエさん(木野花)という
ほとんど登場しない杉野家の人々しかいないので

恵美の苦しみや悲しみは黙殺されます。

オマケに恵美は少しポーッとしたお嬢様なので

最終回近くなるまで彰の裏切りに気づきません。

さらに彰の気持ちが自分から離れていると知っても

それをアッサリ許してしまいます。

その上、恵美の父親は彼女に輪をかけてイイ人で

それを応援したりしてしまいます。

いくら彰が恵美の命の恩人だからといって
『そこまで尽くす必要があるのか?』というくらいの
献身ぶりは、まるで『鶴の恩返し』のようです。

本郷剛のフェイ贔屓の気味悪さも相当ですが
杉野親子のお人好しぶりも尋常ではなく
彼らの人格にはリアリティーが欠如しています。

放映当時はなぜかフェイにばかり都合よく展開する
ストーリーにムカムカして、仲間さんが出演している
にも拘らず、録画する事もやめてしまったのですが

後になって、このドラマがアジア各国で同時期に放送
されていたという事を知りハタと気づいたワケです。

「ウソコイ」というドラマのコアターゲットが
最初から我々日本人ではなかった事に。

つまり、不法入国してでも日本に来たいと考えている
アジア各国の若者に「甘い夢」を見させる事を目的に
製作されたのが「ウソコイ」という作品だったワケです。

そう考えると杉野親子のこのドラマにおける役割は
「豊かな国・日本の優しい日本人」の象徴なので
フェイに対して「無批判に慈悲深く」なければならず

入管の係官は「夢を阻む悪い奴等」の象徴なので
たとえ彼らが忠実に職務を遂行しているだけでも
何か悪い事をしているように描かれていたのです。

となれば、不法入国なんかしなくても日本にいる
ボクらが見ても面白くも何ともないのは当然なので
ビデオを見るときはストーリーを一切追わないで
仲間さんの登場シーンだけに神経を集中しました。

キャスティングを見てみると「まずフェイ・ウォンありき」
であった事は明白で7〜9月期放映のドラマにも関らず
撮影は、フェイ・ウォンのスケジュールに合わせて
4月〜7月19日という異例の早さ行われたようです。

しかし仲間さんがキャスティングされた事に関しては
同時期に『明日があるさ(NTV)』の撮影があった事
からも分かるように「単にスケジュールが合ったから。」
ではなく「アジアで人気の高い女優」という選択肢の中
から彼女が選ばれたのではないかという気がします。

それは、杉野栄之助役の布施明さんが仲間さんと
同じ事務所の大御所で、普段はあまりドラマには
出演されない方なので、布施明さんに関しては
「仲間さんのバーターでキャスティングされた」
と考える方が妥当ではないかと思われるからです。

役柄的にも恵美の方がはるかに重要な役ですから
布施さんの方に先にオファーが来ていて、後から
仲間さんを売り込んだなんて事は考えづらいので
恵美役は最初から仲間さんが本命だったのでしょう。

「神様もう少しだけ」や「二千年の恋」がアジア各国で
話題となり、これらの作品に出演した仲間さんの
人気は香港、台湾、中国では意外に高いそうですし

彼女自身が1998年頃から台湾や香港で行われた
音楽祭やイベントに積極的に参加して来た事も
この作品のキャスティングに影響しているハズです。

そして、このドラマの仲間さんはとにかく綺麗です。

仲間由紀恵さんが2001年に出演されたドラマは
「FACE〜見知らぬ恋人」といい、この作品といい
視聴率的には苦戦を強いられたのですが

仲間さん個人を見ると、演技的にも外見的にも
過去の作品より一段とハイレベルになっています。

恵美は「桜小夜子」のような「お嬢様っぽい役」ではなく
「山田奈緒子」のように「清楚な外見にどす黒い内面」
なんて役でもなく、ホンモノのお嬢様役なので

恵美の上品なキャラクターと清楚なファッションに
すっかり大人っぽくなってスッキリとした仲間さんの
人形のように整った顔立ちがピッタリ合ってます。

顔の造形自体は今と変わっていないのですが
「神様もう少しだけ」や「P.S.元気です、俊平」や
「君といた未来のために」に出演していた頃は

まだ頬っぺたあたりにまだふっくらと肉が付いていて
「大人っぽい顔立ちの子供顔」という感じだったので

濃いメイクなどをすると不自然な印象を受ける事も
あったりしたのですが、2000年あたりを境にして
彼女の顔立ちがめっきり大人っぽくなって来たので
ようやく顔が出来上がってきたという印象を受けます。

恵美は性格的にも大人しくてお人好しで一途という
「やまとなでしこ」を絵に書いたようなキャラですし

仲間さんのゆったりとした身のこなしや話し方や
柔らかい表情が恵美のキャラクターと合っているので
役柄的な事だけ言えば、かなり恵まれた作品です。

この作品の登場人物で、どこの国でも
誰にも嫌われないキャラクターは
杉野恵美くらいのものだと思います。

そういう意味では彼女がこの作品に出演した事は
「対アジア戦略」という点で意義があったハズで
「無駄なキャリア」にはなっていないと思います。

それだけに後半になって角田が恵美にちょっかいを
出し始めると、この手の恋愛ドラマの法則に従って

「余り物同士がくっつく」

なんて理不尽な展開になりはしないかと

フェイと彰はそっちのけで
そこだけが気になってきます。

「生まれ変わったら角田さんのお嫁さんになりたい」
なんて、恵美が角田に涙目で語るシーンを見ると
フェイがフランスに旅立った事よりガッカリします。

おかげで最後の最後まで恵美が角田の下衆野郎と
くっつけられてしまうのではないかとハラハラしますが
もし最後に、角田と恵美がくっついて終りだったら

ホントに救いのない
ドラマだったと思います。

ストーリー的には、あくまで外国人向けの成功譚で
「日本人が失ったものを発見するドラマ」なんて
大それた事を言われると氏ね。としか思えません。

主役の中井貴一さんはDCカードのCMそのままの
間抜けキャラで、本郷役の中村俊介や角田役の
生瀬勝久さんよりは、まだマシな役ですが

40ヅラ下げて、このキャラはかなりションボリ。

結局、日本人である私たちにとっては
恵美タンにキャラ萌えでもする以外に
このドラマを楽しむ術は無い気がします。

第1話の花嫁衣裳とかチャイナドレスとか最終回の
真っ赤なドレスとか色んな衣装を着た仲間さんが
見られるのもこのドラマの魅力のひとつでしょうね。
あと、オープニングの仲間さんがすごく綺麗です。

(2002.5.14)

モドル

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