P.S.元気です、俊平

1999/6/24〜9/16 TBS系
連続 全12回 木曜 22:00〜22:54

【プロデューサー】

成合由香、横井直行
(プロデューサー補・宮崎朗)

【演出】

吉田健、森山亨、戸高正啓、荒井光明

【脚本】

小林司(1〜2話)、鈴木貴子(3〜12話)

【音楽】

S.E.N.S.(サントラ「Fine」)

【原作】

「P.S.元気です、俊平」 柴門ふみ

【主題歌】

「なぜ・・・」 Hysteric Blue(Sony,Records)

【ロケ協力】

拓殖大学、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院

【ビデオ】

全6巻 (ポニーキャニオン)

【出演】

加地 俊平 ・・・・・・・・・・ 堂本 光一

大田原桃子 ・・・・・・・・・ 瀬戸 朝香

桜 小夜子 ・・・・・・・・・ 仲間 由紀恵

曽根田 隆 ・・・・・・・・・・ 藤木 直人

下川 啓介 ・・・・・・・・・・ 横山 裕(関西ジャニーズJr)

水沢かおる ・・・・・・・・・・ 建 みさと

俵 次郎  ・・・・・・・・・・・ 小林 稔侍

宮崎 裕美 ・・・・・・・・・・・ 立河 宜子

マスター ・・・・・・・・・・・・・ 斉藤 暁

筒井 慎一 ・・・・・・・・・・ 西村 和彦(友情出演)

加賀谷 郷一 ・・・・・・・・・・ 細見 大輔

赤岩 清史  ・・・・・・・・・・・ 須藤 公一

久野 芙由子 ・・・・・・・・・・・ 三津谷 葉子

市村 洗太郎 ・・・・・・・・・・・ 上川 隆也

山辺(市村) 粧子 ・・・・・・・ 櫻井 敦子

松田 まゆみ ・・・・・・・・・・・ 小松 千春

大田原 朋子 ・・・・・・・・・・・ 松原 智恵子

河合 ミカ ・・・・・・・・・・・・・ 柴咲 コウ(6話)

花屋・時枝ユウジ ・・・・・・・ 堂本 剛(6話ゲスト)

【ストーリー】

徳島から上京し大学受験に臨んだ加地俊平(堂本)は
受験に失敗してフラリと訪れた早稲田大学の前で
桃子(瀬戸)という、ちょっと変わった女の子と出会う。

桃子は初対面の俊平を強引にバイトに巻き込み
人の頼みを断り切れない性格の俊平は、彼女の
おかげでトラブルに巻き込まれて不満を漏らすが
桃子は意に介す様子も無くすっかりお友達モード。

桃子のマイペースぶりに、とまどう俊平だったが
聞いてみると桃子は俊平の高校時代の初恋の人
桜小夜子(仲間)と同じ音羽女子大の生徒だという。

そんな桃子のおかげで小夜子と再会した俊平は
小夜子と同じ、東京の大学に入学するために
来年の受験を目指して予備校に通い始めるが
なぜか俊平と同じ予備校に桃子が入学してくる。

自由で奔放な桃子に翻弄され続ける俊平だったが
徐々に俊平は桃子の魅力に惹かれ始めていく。

【感想】

自由で開放的で才気溢れる女の子・桃子

優柔不断でうだつの上がらない主人公・俊平

俊平を横取りしようと目論む魔性の女・小夜子

桃子に猛烈にアタックをかける昔の男・曽根田

と、まぁいかにも「ザッツ・柴門ふみ」という人物配置。

「柴門ふみ」原作ドラマの代表作「東京ラブストーリー」と
ほとんど同じ人物配置ですが、この人の原作ドラマは
ほぼ、このパターンだと言っても過言ではありません。

この人の漫画で「桃子」に当たるキャラクターは
常識にとらわれない「ちょっと違ったヤツ」として
誰からも愛され、そのうえ優れた才能に恵まれていて

逆境にあっても常に前向きで、主人公を常に励まし
強気で、それでいて「本当は臆病な女の子」だったり
実は登場人物の中で誰よりも不幸な身の上だったりと

親の総取りみたいなキャラクターです。

それに対して「小夜子」に当たるキャラクターは
女が持つ『弱さゆえのしたたかさ』を増幅したような役で
女ゆえの『狡さ』や『怖さ』を武器に妨害をする恋敵です。

この全く正反対のキャラクターの女性に挟まれて
右往左往する主人公(俊平)は『優しさ』だけがウリの
八方美人なヤツで、常にハッキリした態度が取れず
その優柔不断さゆえに自分で事態をややこしくする

主人公兼トラブルメーカー
という困ったヤツですが

実はひそかに物凄くデカイ夢を持ってい
結局、最後にはそれを実現してしまったりします。

桃子は普段は強気で解放的で縛られる事を嫌う
自由な人なので、粧子(櫻井)や小夜子のような
『男に依存しないと生きられないタイプの女性』を
『内心小バカにしている』ような事まで言いますが

そもそも自分が俊平と小夜子の間に割り込んだくせに
小夜子と俊平の事で自分が嫉妬に狂ったりするのは
全然平気という自由気ままな性格の持ち主です。

本当なら『俊平と桃子が早く結ばれれて欲しい!』と
曽根田や小夜子を憎むのが普通なんでしょうが
ボクは基本的に『柴門ふみ』の漫画の主人公の
自分勝手でご都合主義な性格が大嫌いなので

サッサとくっつけば?( ´τ`)σ

くらいの感想しか持てません。

さらにオイシイところで出てきて分かったような事を語る
ヒモさん(小林稔侍)とか、いつも合コンばかりしている
サークルの先輩とかトラブルメーカーの下川(横山)とか

ドイツもコイツもウザイ奴ばかり。

その上、全員が無批判に桃子支持なので
見ていてムカムカしてきます。

一応『若者の成長物語』という事になってますが

結局、入り組んだ三角関係が織り成す
ドロドロの愛憎劇といった塩梅なので

アホガキ同士がくっついたの離れたのなんていう
しょーもない話を12時間近く見せられる事になるため

ハッキリ言ってストーリーを追って見るのは
かなり苦痛なシロモノと言わざるを得ません。

そこで、ここからは他の部分は無視して仲間さんに
ついてだけ、いろいろ感想を書いてみたいと思います。

まず仲間さんの外見ですが、撮影当時は19歳という事で
全体的には今と変わらぬホッソリとした体型なのですが
まだ、頬っぺたのあたりがポッチャリとしていて
顔のラインに『少女』っぽいあどけなさが残っています。

そのためか、1話で登場する二つ縛りのお下げ髪姿は
「ごくせん」のヤンクミと比べると、あまりに野暮ったく
正直「ワァ、可愛い♪」と言うほど可愛くも見えません。

トレードマークの長髪を編み込んだり、束ねたりして
前髪を少し垂らした髪型はデビュー当時と近いもので
ショートカットで活発な雰囲気の桃子(瀬戸)と対照的に
大人しくて清楚な小夜子のイメージを象徴しています。

眉毛の形も、ほとんど自然のままでメイクも薄め。
パステル系のロングスカートとカットソーとかワンピースに
薄手のカーデガンという清楚なイメージのファッションが
「TRICK」の山田奈緒子と同じ傾向の桜小夜子ですが
受けるイメージは全く違い、小夜子は見たまんまの
華奢で可憐で素朴な少女という印象です。

仲間由紀恵さんが演じる、桜小夜子というキャラクターは
高校在学当時はいちおう俊平と交際していたものの
俊平がマニュアルにとらわれて彼女と距離を採り始めると
孤独に耐え切れなくなって他の男子と交際を始めてしまい
俊平とアッサリ別れることになってしまいます。

さらに音羽女子大に合格して、徳島から上京して来ると
さっそくバイト先の本屋の店長(西村)と不倫関係になり
俊平の事など、とっくに過去の人だったにもかかわらず
不倫関係が破局を迎えると再び孤独に耐え切れなくなり
思い出したように俊平に擦り寄ってくるという

内向的なんだか積極的なんだか
よく分からないキャラクターです。

そして小夜子は、自分に好意を持つ男性に対しては
自分の世話を焼かせる術を無意識のうちに心得ていて
男性にすべてを委ねる事で逆に相手を束縛するという
可愛い子にありがちな「受身の支配者」的な性格です。

小夜子は俊平に対して自分の要求はハッキリとは言わず
俊平があくまで自発的に協力するように巧みに仕向け
それでいて俊平に対しては自分がこんなにも色んな事を
してあげているという事をアピールするのを忘れません。

俊平のようなお人好しの男は、自分の行動が小夜子の
意思によってコントロールされている事に気づかずに
「オレなんかに、こんなに一所懸命になってくれて・・」と
いつの間にか小夜子から逃れられなくなってしまいます。

そして、タチの悪い事に小夜子自身が自分の狡猾さに
気づいていないので、別れる別れないなんて事になると
「あんなに尽くしたのに!!」なんて話になるワケです。
「桜小夜子は女郎蜘蛛のような女」と言って良いでしょう。

ハッキリ言って小夜子も
ロクな女ではありません。

そんな事から、どんなに難しいと思った役でも最終的には
演じた役の女の子をいちばん好きになってあげたい。
自分がその子のイチバンの理解者になってあげたい。

という信条を持っているという仲間さんにとって
小夜子はかなりキビシイ役だったに違いありません。

さらに仲間さんは高校卒業後は仕事に専念しているため
『普通の大学生ライフ』を体験していないワケですし
番組スタート時は仲間さんと同年齢から始まる小夜子も
番組が終了する頃には設定上21歳になってしまうので
年齢的にもやり辛い役だったのではないかと思います。

そんなワケで、やり辛かったと思われる小夜子役での
仲間さんの演技は表情の演技が非常に良い感じですが
相変わらずセリフと身体を使った表現に難があります。

現在は普段の声もかなり低いトーンになった彼女ですが
この頃の彼女のセリフは、まだ一本調子の甲高い声で
抑揚に乏しく、喋っていると言うより読んでいる感じで
まだまだセリフの表現力にはかなり難がある印象です。

しかし、前作「君といた未来のために」の時と同様に
小夜子のキャラに当時の仲間さんの頼りない声質が
意外と合っているので『神様もう少しだけ』の時ほどの
違和感はありません。

ただ、身体を使った表現は相変わらず中途半端なもので
後半になって何度か登場する俊平に抱きつくシーン等は
素の彼女が出ていて、妙に遠慮した動きになっています。

しかし『神様もう少しだけ』ではカヲルの感情の激しさを
表現するためにボディアクションを多目に使ったのが
逆にワザとらしくなって裏目に出ていた感じでしたが

桜小夜子は基本的に大人しいキャラクターなので
むしろ、全身を使った感情表現よりも目線の動きや
ちょっとしたつぶやき等で感情を表現するシーンが多く
動きの演技の稚拙さは目立つ程ではありません。

表情については、当時からなかなか素晴らしいもので
細かな目線の動きや、ちょっとした表情の変化などで
小夜子の感情の動きを上手く表現されてると思います。

まぁ、仲間さんは元々顔立ちが派手で綺麗な方なので
『ピンで抜かれるだけで映える』というのも事実ですが
特に、伏し目がちにしている時の寂しげな表情とか
不安そうに目を泳がせているような表情については
見るものを画面に惹きつける魅力があります。

結局、仲間由紀恵さんにとって「P.S.元気です、俊平」
というドラマが、どういう作品だったかと考えてみると

下手をすると「若手意地悪恋敵女優NO.1」とか
「有森也実の後継者」なんてポジションが
決定してしまいかねなかった作品。

と言って良いんじゃないかと思います。

事実、当時放送を見た人たちの間では
桜小夜子=仲間由紀恵の評判は最悪
だったようですし(笑)

この作品の後「リング0〜バースデイ」でヒロインを演じて
なんとか、そんな羽目になるのを逃れたワケですが
これ以前に演じた「天うらら」や「神様もう少しだけ」での
「意地悪な恋敵役」の印象が一般的に強かっただけに

この後、もう一本でも小夜子的な役が続いていたら
たぶん彼女の演じる役柄というのは、こういう役で
固まってしまっていたんじゃないかと思います。

この頃、仲間さんが演じていたキャラクターというのは
ほとんどがキャストのNO.3あたりに位置する恋敵役で
結局、最後には失恋して一人になってしまう可哀想な
女の子の役が多かったのですが、この作品に関しては
仲間さんが演じた桜小夜子という女の子よりも

>キャストもいろんな人がでていて
>青春ラブコメなので家族で笑ってみてくださいね
(1999.5.20)

なんて事をドラマ撮影中に自分のオフィシャルHPの
掲示板に書き込んでいた「何も知らない仲間由紀恵さん」
ご本人の方が不憫に思われてなりません(笑)

ドラマのスタッフは彼女に
どんな説明をしたんでしょうか?

このドラマのどこに”コメ”の要素があるのか
スタッフを小一時間問い詰めたい気分です。

(2002.5.14)

モドル

inserted by FC2 system