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2006年5月19日 大奥は女の牢獄でございます
【大ネタ−貞女の鏡→稀代の毒婦?】

ハイ、というワケで、まもなく『トリック劇場版2』上映!!と思っていたら
18日に急遽発表されました仲間由紀恵さんの大河後初仕事?となる
大作映画「大奥」(12月23日〜公開予定、制作:フジTV)のお話です。

12月23日から来年のお正月映画として公開される予定のこの作品。
2003年から特番・連続ドラマとして放送された大奥のスペシャル版
という位置づけになるそうで、製作費はなんと衣装だけでも1億円。

総製作費は20億円以上を予定。さらに同テレビシリーズに出演した
松下由樹、菅野美穂、高島礼子、藤原紀香らに加えてフジテレビの
中野美奈子、高島彩ら、美人女子アナが華を添える予定だそうです。

で、今回の映画で仲間さんが演じる予定になっている絵島という女性。
もちろん歴史上実在した人物で、実は大奥に仕えた女性の中では
大奥最大の疑獄事件「絵島生島事件」の中心人物として有名だとか。

そこで、映画を見る前に映画で描かれるであろう『絵島』という女性と
『絵島生島事件』という事件のあらまし、そして事件の背景等について
ちょっと予習してみようかと思います。

【絵島(えじま) 天保元年(1681年)〜寛和元年(1741年)】

絵島(江島ともいう)は七代将軍・家継の生母・月光院の名代として
仕えた御年寄で月光院の右腕として大奥内で辣腕を振るいました。

当時の大奥は六代将軍・家宣の正室・天英院を中心とする勢力と
家宣の側室で絵島の仕える月光院を中心とする勢力に分かれて
いましたが七代将軍・家継の生母となった月光院側が優勢でした。

ちなみに将軍位に就いた時、七代将軍・家継はわずか4歳の幼子で
当然、家継本人に政務を司る能力は無く、実質的な政治の実権は
家宣以来の家臣で家継の将軍就任に暗躍した側用人・間部詮房や
新井白石、そして家継の生母・月光院によって握られていたそうです。

天英院や月光院が仕えた家宣が五代将軍・綱吉、別名”犬公方”の
養嗣だったという事ですから、世はまさに絵画、俳諧、歌舞伎など
美術・芸能が乱熟した”元禄文化”華やかなりし頃であったワケで
徳川将軍家の後継者を養成するという重要な役割を担っていたため
幕府の中で、莫大な予算を湯水のごとく浪費していたという大奥では
それはそれは絢爛豪華、贅沢三昧な日々が送られていたそうです。

しかし将軍の生母となり権力を手にした月光院が家継の即位に尽力し
家宣の腹心でもあった間部詮房との親密な関係をウワサされるなど
大奥の風紀もこの頃から大いに乱れ始め、ライバルである天英院と
その側近たちは勢力挽回の機会を虎視眈々と狙っていたと言います。

そんな中で起こったのが、月光院の右腕として辣腕を振るっていた
御年寄・絵島と歌舞伎役者・生島(1671年〜1741年)を中心とした
”大奥史上最大のスキャンダル”と言われる「絵島生島事件」です。

【絵島生島事件の顛末】

この『絵島生島事件』は歌舞伎や長唄の題材としても採用されており
「絵島が生島を呉服の箱に隠して大奥内に連れ込み、人目を忍んで
情事に及んでいたところを他の女中に見咎められ・・・」という物語が
後世に伝わっていますが、実際の顛末は少々違ったようです。

正徳4年(1714年)絵島は月光院の名代として多くの奥女中を従えて
前将軍・家宣の墓参りに芝の増上寺へ行き、その帰り道に懇意の
呉服商・後藤縫殿助に誘われて山村座・生島新五郎の舞台を観覧。

生島新五郎は大阪の生まれで1684年から山村座の舞台に立ち
1691年から生島新五郎に改名、事件当時は43〜44歳になりますが
美男役者として当時はかなり有名な人気役者であったという事です。

生島の舞台を観覧した絵島一行は、後藤の計らいもあったのか
舞台の後、山村座の面々を呼んで茶屋で盛大な宴会を開きます。
そして宴会に夢中になってしまい大奥の門限に大きく遅れてしまった
絵島一行は、江戸城・大奥七ツ口の前で門番と「通せ」「通さぬ」の
押し問答をしているうちに騒動が江戸城中に知れ渡る事になります。

この絶好のチャンスをライバルである天英院一派が見逃すはずも無く
事件関係者の徹底的な調査が行われた結果、大奥内部での様々な
規律の乱れが明らかになり1300人余が処分されるという事態に発展。

多額の歳費を費やしても五代将軍・綱吉が男子を授かれなかった事や
家継をはじめとして産まれた子の多くが病弱であった事なども手伝って
幕府内で大奥の存在意義自体が問われるまでになってしまいます。

事件の張本人である絵島が何らかの処分を免れるはずもありません
でしたが、宴会で盛り上がって、ついつい門限を破ってしまっただけの
絵島に申し渡された刑は、なんと死罪。ただ宴会に付き合っただけの
生島新五郎は遠島、山村座は廃座。さらに巻き添えを食うかたちで
江戸中の芝居小屋が浅草・聖天町へ移転を命ぜられるハメに。

月光院の嘆願により絵島の刑は減刑されましたが事実上の流刑に。
これにより片腕である絵島を失った月光院の大奥での地位は揺らぎ
翌年、家継が病死すると月光院と天英院の力関係は完全に逆転。

幕府は家継の後継者として尾張、紀州、水戸徳川家の候補者から
天英院が家宣の遺言を持ち出して強く推した吉宗を八代将軍に指名。
「公事方御定書」や「目安箱」で有名なアノ暴れん坊将軍・吉宗です。

将軍となった吉宗は、月光院と繋がりの深かった家臣を次々と罷免。
さらに大奥の大改革にも取り組み、大奥の人員を半分近くまで削減し
規模を縮小、幕政から家宣、家継色を徹底的に排除していきます。

結果的に「絵島」の門限破りに端を発した事件が幕府内の勢力図を
大きく変える大事件に発展したため、「絵島生島事件」は天英院派の
譜代大名、老中のでっち上げたスキャンダルとする説もあるそうな。

・・・・というワケで、「大奥」と言えば「絵島生島事件」と言うくらいに
有名な事件の中心人物を由紀恵さんが演じる事になるワケですが
史実寄りのエピソードを取るか、戯曲寄りのエピソードを取るかで
だいぶ印象の違う映画になりそうな気がいたしますね。

スポーツ新聞の見出しにも「究極の悲恋」なんて書かれているので
史実と戯曲の真ん中あたりを取ったストーリーになるんでしょうが
正直、史実通りなら絵島と生島に恋愛関係があったかも疑わしいし

ぶっちゃけ戯曲寄りのエピソードを採用すると、美形の歌舞伎役者を
大奥で権勢を振るう大年寄が権力にモノを言わせて城内に連れ込んで
愛欲に溺れ・・などと言ったエロカッコ悪い話になってしまいそう(笑

とはいえ、元禄文化華やかなりし頃、栄華の絶頂を極めていた大奥が
将軍・吉宗の登場により、規模を縮小され衰退していく様を描く事で
大奥という”女の花園”の栄枯盛衰を象徴的に描く事も出来ますし

絵島と生島の恋愛があったものとして幕府内の権力闘争に翻弄された
元禄のロミオとジュリエット的な描き方をする事も出来ますし・・

・・・ちょっとSHINO不吉な予感はしますが(笑)

ま、何より大奥がもっとも華やかに栄えた頃のお話でもある事ですから
絢爛豪華な女の花園を描くのには、まさにうってつけの時代でしょうし
天英院VS月光院の権力を巡るドロドロな女の戦いを描く事も出来るし
そういう意味では大奥という題材を描くうえで、この「絵島生島事件」が
絶好のテーマである事は疑う余地が無いんでしょうな。やっぱし。

ちなみに、この事件が起きた1714年の二人の年齢は絵島(33歳くらい)
生島(43歳くらい)という感じで映画の公開時には既に誕生日を迎えて
いるとはいえ、絵島は仲間さんより6歳ほど年上の熟女といった年齢。
生島新五郎に至っては美男役者として人気俳優であったそうですが
すでに初老と言われる40代に突入しており、そこそこオッサンです。

年齢的に生島は阿部寛さん(42歳)とほぼ同じくらいになりますが
映画では一体どんな俳優さんがキャスティングされる事やら。
もしかしたら”濡れ場”もありそうなだけに気になる部分ですネ。

また保原Pは「映画か特番のために取っておいたエピソード」てな事を
制作発表会で仰っていたようですが、実際のところ「絵島生島事件」は
幕末の大奥を舞台にした「大奥」(2003年6月〜9月放映)の6〜8話で
木村多江さん演じる「初島」が美形役者「生島庄五郎」(山口真木也)を
長持ちに隠して大奥内に連れ込んで密会していたのを見咎められ・・

という形ですでに描かれており、厳密には初出じゃありまへん。
たしか門限に遅れてどうこうって話も別の回で出てきたような?

【小ネター仲間由紀恵は真面目な女】

さて、そんな色っぽいお話になるかもしれない映画「大奥」ですが
こちらは仲間さんが全力投球している大河ドラマ「功名が辻」のお話。

そろそろストーリーも中盤に差し掛かろうとしている「功名が辻」は
依然として視聴率20%前後を行ったり来たりという感じの安定ぶりで
仲間さん演じる千代と上川さん演じる一豊の仲睦まじい夫婦ぶりも
すっかり板についてきた感がある気がする今日この頃ですネ!!

そんな上川隆也さんにまつわる記事がサイゾー6月号に掲載!!

その名も

N0.1共演者キラーは誰だ?
女優落としの必殺テクニック!

( ´д`)<ギャー

たしかに、一豊役に上川さんというキャスティングが発表された時は
ごくごく、ホントに一部のファンの皆様から「ゆっきーがあぶない!!」
という声が上がった事は、まだ皆様の記憶に新しい事と存じますが
平成の火野正平こと押尾の兄ぃとならぶ名うてのプレイボーイとして
栄誉あるメンバーの中に名を連ねた上川隆也さんの落としのテクは

無口で真面目読書好きといった知的な面をさりげなく匂わせつつ
二人きりになっても演劇論など理論で攻める。「私の周りには
いないタイプ♪」と思わせて
イタダキ

との事。・・・・ま、あくまで”記事によれば”ですけどね。

さて、そうなると我らが仲間由紀恵さんと上川隆也さんのカンケーが
「実際どうなっているの!?」と、ファンの皆様も気が気で無いといった
ところではないかと存じますので同記事内に載っている芸能レポーター
恐縮です!!の梨元勝氏のコメントを以下に引用しておきますが・・・

本来なら、もうウワサになってもいい頃なんですが
仲間は真面目で、マネージャーに

電話番号を聞かれたけど
教えませんでした!!

と報告したそうですよ。

いや〜、これじゃスクープが取れなくて困っちゃう!

との事(笑)

そんな微笑ましい仲間さんと上川さん共演の大河ドラマ「功名が辻」
第20話「迷うが人」は5月21日午後8時(NHK総合)より放送です!!


2006年5月21日 続報・大奥
【その1−映画「大奥」のストーリーを読む】

12月23日より公開予定の映画「大奥」(制作:フジテレビ、配給:東映)の
オフィシャルHPが制作発表会の翌日からさっそく公開されました。

正直、まだまだコンテンツは充実と言うには程遠い感じの内容ですが
大まかな物語、スタッフ、キャストの簡単な紹介、制作発表の動画など
今後充実するであろうコンテンツの基本はすでに揃っている感じ。

ついでに、オフィシャルサイトをご覧になれば分かる事ではありますが
今回の映画版の監督を務めるのは連続ドラマ版と同じく林徹監督。
脚本も連続ドラマ版と同じく浅野妙子さんが担当される予定だとか。
脚本の浅野さんはアノ「神様もう少しだけ」の脚本家でもあります。

わぁ!楽しみぃ〜・・・・・

ところで、前回の日記でアレコレ予想してみた映画のストーリーですが
オフィシャルHPで紹介されている物語のあらすじを読んでみた感じでは
どうやら絵島を”幕府内権力闘争の犠牲者”という視点で描く模様で

絵島を”町人の出だが聡明で実直な性格で上司・月光院の信望も厚く
生島と出会うまでは、男を意識した事も無い純粋な心の持ち主”という
絵に描いたような優等生として描くつもりである事も読み取れますが

そんな世間知らずのお嬢さんみたいな女性が、月光院の名代として
奥女中の頂点に立って、絶大な権力を背景に辣腕を振るっていた。
というのはなんか設定にムリがあるような気がしないでも無いですね。

そして、そんな無菌室育ちで学級委員体質の絵島が恋に落ちるのも
権力奪還に執念を燃やす正室・天英院とその一派によって画策された
絵島を失脚させるために仕組まれた陰謀説”を採用するようで

生島新五郎との経緯についても、初めて見た煌びやかな世界に心を
奪われた絵島がその後も密かに大奥内で生島と逢瀬を重ね・・・という
どちらかというと後世の創作に近いストーリーを採用する模様なので
この流れだと、少なくとも「門限破り」が絵島失脚の直接の原因には
なりそうになく、生島との逢瀬を目撃される事が原因になりそう。

また、絵島に関する記述を読むかぎり”人目を忍んで愛欲にふけり”
なんていう色っぽい話にはなりそうもないので、絵島と生島の逢瀬も
濡れ場”というよりは”謀略に引き裂かれた悲劇の純愛”てな感じの
OLさんや女子大生をターゲットにしたソフトなタッチになりそうな気配。

そして絵島・生島のエピソードと並べて、やはり当時も噂になっていた
若くて美しい未亡人・月光院と側用人・間部詮房の不適切な関係
決して許される事の無い禁断の恋”てな感じのラブロマンスにして
絵島と一緒に”悲恋モノ”として描いてしまおうという腹づもりな様子。

夫・家宣の死後、将軍の生母として我が物顔で振舞っていた未亡人と
その夫に信任を受けていたのをイイ事に幕政を牛耳っていた部下が
実は密かに恋愛関係にあったとすれば、それは”道ならぬ恋”なんて
キレイごとで済まされるような話じゃ無いと思うんですがどうなのか?

と、こんな事から映画「大奥」は、絢爛豪華な衣装とセットで描かれた
SHINOBI以上、game.以下なラブ要素のある純愛映画になると予想。

岸田今日子さんの「大奥では〜」というセリフで有名な昭和の「大奥」は
むしろ「くのいち忍法帖」みたいなエロがメインのお話だったそうですが
今回は2003年以降のテレビシリーズのSP版という位置づけですし
お正月映画ですから年齢推奨のつかない作品じゃないですかね〜。

「特命係長・只野仁」よりオッパイ率の低い作品になりそうな気が(笑)

【その2−生島新五郎のキャステングはいかに?】

とりあえず過去に放映されたテレビシリーズ「大奥」のレギュラー陣が
今回の映画にも出演予定である事は、先日の製作発表会で明らかに
なったようですが、現段階では出演すらまだ予定といった段階なので
今回もメインの役割なのかゲスト的扱いなのかも分かっておりません。

少なくとも絵島を主人公にして事件を陰謀として描くという事であれば
絵島の上司・月光院や間部詮房が善玉、ライバルになる天英院と
その一派は悪玉として描かれる事は、まず間違いなさそうなので
当然、キャスティングも設定に沿ったものになるだろうと思われます。

ただ、だとすると微妙なのは生島はどっち側になるのか?という事。

そもそも、天英院とその一派と呉服商・後藤縫殿助が裏で通じていて
天英院らの指図を受けた後藤縫殿助が生島と絵島を引き合わせ
二人が惹かれあうのを確認したうえで、縫殿助が生島をそそのかし
呉服の箱に生島を隠して大奥内に運び込んだ。という形にするならば
縫殿助はノーリスクなので二人の逢瀬に協力するのも不自然ではなく
生島新五郎が謀略の内容について知る必要もないような気もしますが

まず、そもそも絵島と生島の出会いが仕組まれたモノであったのなら
当然、生島もその計略の内容を知らない方が不自然な気がしますし
例えば資金援助を受けていた等の理由で縁のある縫殿助に頼まれて
百戦錬磨の美男役者・生島がウブな絵島を言葉巧みに口説き落とした
という方が、流れとしては自然な気がするのもたしかなのであります。

いずれにせよ、生島新五郎がどちら側の立場になるのかによって
妻夫木聡になるか北村一輝になるか?
というぐらいキャスティングは変わってくるだろうと思われますので
キャスティングは年齢よりも生島のキャラクターで決まって来そう。

ただ、オフィシャルHPに絵島が”生島の舞に魅了され〜”とあるように
歌舞伎役者である生島新五郎には舞台のシーンがあるハズなので
梅沢富男って事は無いにしても、そこらヘンを難なくこなせる中村とか
市川という名前の役者さん
に決まってしまう可能性もありますね。

とりあえず梨園のエビちゃんは勘弁して欲しいところですが。


2006年6月4日 映画を見てきました!!
ハイ、そういうワケで6月10日を前にして観て来ました!!

イヤー最高!!

すばらしい!!

傑作ですな!!

嫌われ松子の一生!

さて、それではさっそく映画の感想を書いてみたいと思います(笑)

【嫌われ松子の一生の感想】

ところで、皆さんは「四丁目の夕日」という漫画をご存知でしょうか?
イエイエ、「三丁目の夕日」ではありません「四丁目の夕日」です。

四丁目の夕日 (著:山野一)

「四丁目の夕日」は「三丁目の〜」と同じく下町が舞台の漫画ですが
その内容はハートウォーミング物語の「三丁目の〜」とは正反対の
不幸と惨劇のオンパレードです。

どんな内容なのか簡単にストーリーをご説明しますと・・・・・

下町の印刷工の息子たけしは国立大を目指す秀才高校生だったが
ある日、デート中に出会った暴走族に襲われてボコボコにされる。
偶然そこに通りかかった金持ちのクラスメイトに彼女を助けられ
彼女から白い目で見られる事になってしまったたけしだったが
それは、これから彼を襲う不幸のほんの序章に過ぎなかった。

その日、家に帰ると母親がスプレー缶の爆発事故で大ケガを負う。
重傷の母は病院に担ぎ込まれたけしの家庭は母親を失う事になる。
続いて母親の入院費までと夜勤をして家計を支えようとした父親が
印刷中の輪転機に巻き込まれて惨たらしい死を遂げてしまう。

唐突に両親を失い、失意のどん底にあったたけしを次に襲ったのは
父の葬儀に現れた借金取り。大学進学など最早かなわぬ夢となり
たけしは幼い妹弟を養うために実家の印刷工場で働く事となる。

しかし、継いだ父の印刷工場はあえなく倒産、ついに家も工場も失い
ボロアパート住まいに。やむなくたけしは近所の工場で働く事になるが
そこにはかつて父の工場をクビにされた暴走族あがりの先輩がおり
たけしはその男から職場で執拗なイジメを受け続ける事になる。

職場への通勤途上にすれ違う、かつての級友たちの冷たい視線
他人のフリをする元恋人、口さがないウワサ、閉ざされた進学の道
キツイ仕事、職場でのイジメ、働いても働いても無くならない借金・・・
慣れない肉体労働と心労で、たけしの肉体と精神は蝕まれていく。

そして、そんなある日、小さなアパートでたけし兄弟がささやかな
誕生パーティをしていると、同じアパートに住む異常者が乱入。
たけしの心のよりどころである妹と弟を次々に斧で殺害していく。

この時たけしの心は完全に壊れ、妹と弟を惨殺した男の手から
斧を奪い取ると男を殺害、続いて駆けつけた警察官に切りつけ
路上に飛び出したたけしは、通行人に無差別に切りつける・・・

そして、真犯人を殺害し、彼自身も発狂してしまった事から
妹弟殺しの無差別殺人者として裁きを受ける事になる、たけし。
なんとか刑は免れるが精神病院に長期入院を余儀なくされる。

精神病院での治療を終え社会復帰した彼の目に映った世界は・・

と、言ったあんばいで、あらすじからでも伝わると思いますが
これに山野氏の描いた妙にリアルな絵がつくと破壊力は倍増。
正視に耐えない陰惨な場面の続く全く救いの無い漫画です。

「ガロ」(青林堂)という漫画専門誌で1985年〜1986年にかけて
(今からちょうど20年前に)連載されていた漫画で、ワタクシも
後になってから、たまたま単行本で読んでしまったのですが

あまりの陰惨な内容に吐き気をもよおしました。

正直、ワタクシも漫画を読んでホンキで吐き気を覚えたのは
この「四丁目の夕日」とこの漫画ぐらいで、その破壊力たるや
そんじょそこらのホラー映画をはるかに凌駕するシロモノです。

読んでしまった時はその後味の悪さに読んだ事を後悔させられ
読後も、しばらく悪夢にうなされるくらいトラウマになった漫画で
正直言って10代の多感な少年少女には読んで欲しくないです。
ハッキリ言って大人でも気の弱い方は避けた方が良い漫画です。

読んでトラウマになっても責任は取れません。

で、なぜ長々とそんなトラウマ漫画の解説をしたのかといいますと
この「嫌われ松子の一生」の主人公:松子(中谷美紀)の生涯が
「四丁目」のたけしの人生とほとんど変わらないシロモノなのです。

昭和46年、福岡県の中学校で教員として勤務していた川尻松子。
歌の上手い美人教師として生徒の人気も高かった松子だったが
修学旅行先で起きた盗難事件をきっかけに彼女の人生は変わる。

同僚から担任の生徒:龍洋一が犯人ではないかと疑われた松子は
自ら彼を問いただすとタンカを切ったが龍はガンとして犯行を否認。
その時、松子がやむなく取ったその場しのぎの行動が命取りとなり
松子は教職を辞するハメになりそのまま家出、行方知れずとなる。

実家から出奔した松子はやがて自称・太宰治の生まれ変わりという
作家志望の八女川(宮藤官九郎)の才能に惚れ込み同棲を始める。
しかし作家として全くモノにならないばかりか、働きもせず金をせびり
なにかにつけて暴力をふるい松子に八つ当たりをしていた八女川は
やがて自分の才能の限界を知り、絶望して列車自殺を遂げる。

目の前で轢断されたかつて八女川だった物体を見て倒れる松子。

しかし半年後には八女川の友人・岡野(劇団ひとり)の愛人になり
八女川の事などすっかり忘れたように幸福を謳歌している松子。
だが岡野の自宅を覗きに行った事で岡野の妻に二人の関係がバレ
激怒した岡野にとアッサリ捨てられる松子。再び人生のどん底に。

岡野に捨てられ、八女川に言われて面接を受けに行った事のある
ソープに再び面接を受けに行く松子。店長(谷中敦)に言われるまま
そのテクニックを磨き、日夜スクワット運動に励むという努力の末に
先輩ソープ嬢・綾乃( BONNIEPINK)と共にナンバー1の座に輝く松子。

しかし時代の流れと共に下火となったソープランドをクビになる松子。
小野寺(武田真治)に誘われるまま新天地を求めて雄琴へ向かった
松子だったが小野寺に裏切られて逆上し、これをメッタ刺しに殺害。

発作的に逃走し東京へ向かった松子は理容師・島津(荒川良々)と
出会い1ヶ月だけ同棲。つかの間の平穏と愛情ある生活を送る松子。
しかしそんな生活も長続きせず追って来た刑事に松子は逮捕される。
殺人犯として8年の刑に服した松子だったが、島津と暮らすために
収監中に理容師の資格を取り、出所後、島津の理容室に向かう。

満開の桜の中、新生活を夢見て島津の理容室に急ぐ松子。

しかし、8年経った島津の理容室に松子の居場所は無かった。

行き場をなくし街をさまよう松子はヤクザになったかつての教え子
あの盗難事件の容疑者・龍洋一(伊勢谷友介)と偶然再開する。
なりゆきからヤクザの愛人となる松子。しかし、彼もまた松子から
離れて行き、松子は荒川沿いのアパートで引きこもり生活を始める。

裏切られ捨てられ続け、ついに誰も信じられなくなった松子。
徐々に精神のバランスを崩し始め精神科の治療を受ける松子。

そして平成13年

53歳になった川尻松子は荒川河川敷で死体となって発見される。

・・・と、まぁこんな具合でして。

「四丁目の夕日」のたけしと、嫌われ松子の一生をくらべてみると
たけしの方が生きてるだけ幸せなんじゃないかって程の薄幸ぶりで
しかも僅かな希望をぶった切るような救いの無い死に方なのですが

なぜか、コッチは爽やかな視聴感。

それどころか、観ていてゲラゲラ笑えたりさえします。

そして、この違いは中島哲也監督の演出の力によるところが
非常に、例えようも無いほどに大きいのではないかと思うのです。

そもそも、あの「下妻物語」の中島哲也監督が撮ると聞いたので
不肖・ミラクル次郎も観に行く気になった映画ではありますが
中島監督、まずこの全く救いの無い陰惨な女の生涯を描くのに

なぜかミュージカル仕立て。

そして、その映像、演出、音楽が全てにおいてどこか過剰

総天然色”という表現が最もシックリ来るドギツイ発色の映像に
木村カエラ、AI、BONNIEPINKが、この映画のために作った曲が流れ
「輝く白い歯」の二枚目教師・佐伯(谷原章介)が登場する場面では
わざわざ白い歯に光のエフェクトを加えたばかりか、暗闇の中で
佐伯の歯だけがキラーン!!キラーン!と輝いている。なんていう
「そこまでやったら漫画だろ!!」てな演出が当然のように登場

松子の心に花が咲いたように幸せなシーンでは画面に花畑が登場し
ヘタをすると蝶も舞い、ハトが飛び、お月様には顔が浮かぶ、という
”ディズニーアニメ白雪姫”のような映像がこれでもかってほど登場。

これほど救いの無い悲惨な話をディズニーアニメの世界と融合させて
ミュージカル風に仕上げるなんて発想はとうてい常人の感性ではなく
天才かキチガイのどちらかとしか考えられません。

そしてそれに映画で描かれる松子のキャラクターが拍車をかけます。

映画で描かれる松子は幼い頃から父親(柄本明)の愛情を渇望し
父親の愛情を得るために、がむしゃらにやみくもに努力を重ねます。

成長してからも、松子は愛される事、必要とされる事を求め続けて
ソープ嬢になればなったで、ソープ嬢として人に認められるために
テクニックを磨いたりスクワット運動をしたりといった努力をしますが
なぜかソレを刑務所にぶち込まれてからも続けているというあたりに
松子の愚かしさ、悲しさ、そして滑稽さが見事に表現されています。

目の前にぶら下がった愛情に片っ端から食らい付いては裏切られ
傷ついてはまた、安っぽい愛情に引っかかって痛い目を見るという
実に浅はかでおろかな女ではありますが、そのバイタリティは壮絶。

どんなドン底にあっても、そこに”愛”があれば不屈の意思で蘇り
愛に向かってまっしぐらに突き進む様はさながらゾンビのごとし
ドラマ後半で引きこもりを始めた松子が唐突に愛に目覚める様は
あまりにも意表をつく展開に思わず噴き出してしまったほどです。

ミュージカル仕立て、アニメ風といった過剰なほどの演出の明るさと
松子の不屈のバイタリティが、その陰惨な物語を見事に中和して
この作品を一級品のエンターテイメント作品に仕上げています。

正直「これ実写映画?」というほど、ありえない映像が満載ですが
山崎努×豊川悦司のサッポロ黒ラベル「温泉卓球」CMでも有名な
中島監督だけに、その映像は劇中のどのひとコマを切り出しても
番宣スチールとして使えるのではないかというぐらい見事な完成度。

また、劇中で使われている音楽も非常に効果的に使われており
松子の愛唱歌「まげてのばして」などは鑑賞後ソラで歌えるほど
くりかえし使われておりますが、それが全く邪魔になっていません。

たまにBGMが耳障りな雑音にしかなっていないドラマもありますが
この映画はまったく別。ほとんどの曲のメロディーが耳に残りながら
それがドラマを効果的に盛り上げているという理想的な使い方です。

というワケで「四丁目の夕日」と違い、映画「嫌われ松子の一生」は
誰にでもオススメできる作品です。てか女性にはゼヒ観て欲しい。
「四丁目の夕日」も「松子」ドラマ的な予定調和を一切否定するような
不幸のジェットコースター的作品ですが松子はトラウマになりません。

おそろしく悲惨で壮絶な”松子の一生”は、なぜか滑稽でおかしく
そのがむしゃらな生き様は、おろかで、胸を締めつけるほど哀しく
そしてなぜか爽やかな視聴感が残る。そんな不思議な映画です。

撮影中、監督から罵声を浴びせられ女優生命の危機に陥りながらも
目にクマを作り、鼻血を垂らし、浮浪者のような特殊メイクを施されて
なお松子を演じきった中谷美紀さんの女優魂に敬意を表すると共に
いつか中島監督に仲間由紀恵さんの主演映画を撮って欲しい。

いや、この際「大奥」はイイから
中島哲也監督の作品を!!

と、思ってしまう自分がいるのであります。


2006年6月10日 よろしくねーっ!!
【トリック劇場版2−よろしくねー!!】

ハーイ、今日からいよいよ「トリック劇場版2」が封切りですねー。
皆さんすでにご覧になられましたかー?

・・・・・ハイ、皆さんすでにご覧になったという事で。

今日はTOHOシネマズ六本木ヒルズで出演者・スタッフによる
初日舞台挨拶も行われ、ついでにTOHOシネマズ川崎では
六本木ヒルズの舞台挨拶生中継なんていう便乗企画も行われ
多くの皆さんが公開初日の劇場に足を運ばれた事と思います。

舞台挨拶の模様のレポートは「〜まるっとお見通しだ!〜」さん
とか「I feel you」さんに、そのうちアップされるンじゃないかなぁ?
と、ワタクシのガイドスピリットが、そっとささやいておりますので

スピリチュアルお待ち下さい。

万が一レポートが上がらなかったらスピリチュアル御免なさい。

さてそれでは「トリック劇場版2」の感想を書こうと思うワケですが
正直、まだ公開初日なんでネタバレになるような事は書けません。
そこで、内容には極力触れず当日の劇場の様子なども含めた
全体的な映画の印象をベースに話を進めて行きたいと思います。

というワケで今日観に行ったのは六本木ヒルズでも日劇でもなく
自宅から一番近い放映館のワーナーマイカル○○でした。

ここは東宝系の上映館でもなく、都心からちょっと外れた立地の
スーパーと映画館の複合店舗ってヤツなので客層もイロイロ。

土曜の夕方という事もあってかシネコンスタイルの劇場は盛況で
ロビーではパンフレットやポップコーンを求める観客の大行列。
売店でグッズを買う高校生女子二人組とか大学生風カップルとか
男子中学生グループとか多種多様なお客さんが来てましたが

実は特に目立ったのがファミリー客。

30代後半ぐらいの夫婦と小学校低学年の子供という組合わせの
本来なら「ポケモン」「ハム太郎」「クレヨンしんちゃん」と言った
アニメ系作品のコアターゲットと思われる層が意外なほどに多く

正直、他にも観る映画あったんじゃね?

などといらぬおせっかいをしてみたくなるほどの家族連れ率。

ワタシが見たのは本日3回目の上映となる4:50〜の回でしたが
客席の埋まり具合はだいたい8分どころといった感じ。
残念ながら初日から満席ではなかったものの空いていたのは
「普通なら舞台挨拶でもなきゃ座らない」最前列のブロックで
東京郊外でこの客層なら上々の入りじゃないかな?てな感じ。

で、映画が始まったワケですが。

予想通り内容は基本的にいつも通りのゆる〜いドラマでした。

というか、話の大筋は行方不明になった美沙子を探すために
上田と山田がインチキ宗教団体?の本拠地に潜入!という
「母の泉篇」パターンとも言うべきデジャヴ感あふれるモノ
大ネタも瞬間移動や物体消失といった見慣れたものばかり
何かがありそうで結局大した事は起こらないのもいつも通り。

「後味が悪くなきゃトリックじゃない!」と主張してやまない
後味グルメの皆さんに配慮したようなセリフが最後の方で
思い出したように登場するのもいつも通りの展開です(笑)

CGの無駄遣いぶりも相変わらずで、要所要所でキチンと使って
いるものの全篇に渡ってCGにしか見えないCGのオンパレード。
前回の日記で取り上げさせてもらった「嫌われ松子の〜」と同様
それはドラマのCGじゃない」というCGがあふれんばかりデス。

ただ個人的には、仲間さんの目の血管がすごく気になったので
アレはCGで消したり出来なかったのかなぁ?と思いました。

また、約6年ぶりに仲間さんが披露したイイ動きをはじめとして
相変わらず盛り沢山の小ネタも「サイレン」や「電車男」といった
堤監督の最近の作品がらみのネタや、過去のシリーズがらみの
ネタが、これもいつも通り”これでもか!”ってほど登場しましたが

意外に多かったのが、今日の客層を知っていたかのような
完全に低年齢層を狙った分かりやす〜い一発芸風の小ネタ。

堤カントクが思いついた瞬間「今回はもらった!」と思ったという
「よろしくねー!」をはじめとして「とっとこ」とか「みさえ〜!」とか
完全に小中学生狙いのネタが面白いほどにウケておりまして
上田の○○がびよ〜んと伸びる○ン○ー○ネタなんかは
矢部のヅラネタを上回る大きさの爆笑が湧き上がるほどでした。

上映終了後、劇場から出る人たちの会話を盗み聞きしても
会話の端々に「悪魔の○」とか「お前はもう死んでいる」とか

よろしくね〜っ!!(笑)

という単語があちこちから聞こえるという怪奇現象も起こっていて
今回の小中学生狙いの一発ギャグ攻勢がズバリ的中した模様。

グーグルで「ゆーとぴあ」って検索してもトップページに出てこない
ゆーとぴあ」がこの映画で再び注目を浴びそうな予感タップリで

よろしくね〜!!が
チッチキチーを
越える日も近いかも

とさえ感じさせる手ごたえに、この映画で誰もが忘れかけていた
「ゆーとぴあ」の必殺ギャグに、再び光を当てた堤幸彦監督の
してやったり”という顔が頭に浮かぶような気もいたします。

ま、ネットの感想で「あんなのトリックじゃない!」って
言う人が現れるのも今から目に見えるようですが(笑)

というワケで、プライムタイムで放送された「木曜ドラマ・トリック
視聴率24.7%を記録したという「トリック新作スペシャル」を経て
ファミリー層さえターゲットに入れた今回の「トリック劇場版2」は
興行的にも前作の「劇場版」を越える成績を残してくれそうなので

とりあえず来週のココ
スピリチュアル楽しみです!!


2006年7月7日 笹の葉たてなめよこさら
【七夕まつり】

ハーイ、今日は七夕!!短冊に願い事は書きましたかー?
ワタシもささやかな願い事を書いてみましたYO!!

世界スピリチュアル平和

ってね!!

おっと時節柄ちょいとマジっぽかったKANA!?

【2006年4〜7月期の連ドラ】

そんなワケで、ひとまずは4〜7月期の連ドラの感想なワケですが
とりあえず最後まで見たのは「弁護士のくず」「富豪刑事デラックス」
「てるてるあした」「ギャルサー」の4本、あとは全て脱落となりました。

「弁護士のくず」は原作とは似ても似つかないテイストになりましたが
ドラマスタッフのセンスが存分に発揮された軽妙洒脱な味わいでした。
「富豪刑事デラックス」も、原作とは似ても似つかないテイストでしたが
こちらも前作の雰囲気を損なうことなく、前作よりさらにパワーアップした
バカバカしくて肩のこらない娯楽ミステリー作品に仕上がっていました。

再び日テレの看板ドラマ枠に定着しつつある土9の「ギャルサー」は
荒唐無稽な設定と、思いつきと勢いで書いたとしか思えないデタラメな
ストーリーのおかげで、基本は「ごくせん」と同じ構造のドラマなのに
まったく説教臭く無かったところが逆に好印象でした。藤木君も良かった。

そして「雨と夢のあとに」の続編と言ってもいい「てるてるあした」は
主人公が”父と娘”から”母と娘”に変わり、舞台も都会から田舎に変わり
雰囲気そのものはガラリと変わりましたが、作品のしっとりとしたテイストは
相変わらずで、難病や死を道具のように扱うプライムタイムの連ドラと違い
岩清水のように沁み込むスローフードならぬスロードラマ的味わいでした。
正直、最終回の荻野目慶子さんはハッスルし過ぎた感じですが(笑)

さて、それではワタクシが勝手に選ぶ4〜7月期の連ドラNo1は!?

吾輩は主婦である」(TBS) 月〜金 13:00〜13:30
プロデュース:磯山晶 脚本:宮藤宮九郎 演出:高成麻畝子ほか
出演:斉藤由貴、及川光博、竹下景子、岡田義徳、池津祥子ほか

というワケでワタクシの今期NO1ドラマは連ドラじゃなく昼ドラなワケですが
なんつっても、ドラマ好きならキャスティング・スタッフを見れば分かるとおり
ありえないメンバー構成で、毎回”こんな人が昼ドラに!?”という驚きが。
これはひとえに磯山Pとクドカンの手がけた作品だからこそ。でしょう。

ドラマだと持ち前のキャラの強さから、どうしてもハミ出してしまう瞬間がある
川平慈英や及川光博をドラマの世界からはみ出す事無く溶け込ませる事が
出来てしまうのはクドカンの脚本ならではじゃないでしょうかねー。

正直、漱石そのものの描写については伝記一冊分程度の情報量に過ぎず
それだけならば別に主婦が芥川でも鴎外でも大差なかったと思いますが
なによりクドカン独特の軽妙なセリフのやり取りと、おかしなキャラクター。
そして、故・久世光彦ドラマを思い起こさせる正当ホームドラマ的世界観。

これらのブレンド具合が非常に絶妙で、昼ドラでありながら肩のこらない
良質のホームコメディに仕上がっており、今後の昼ドラとホームドラマの
可能性についても、新たな方向性を示してくれた作品といえましょう。

【2006年7〜9月期の連ドラはじまる】

さて今日、7月7日は6年前に「トリック」の放送がスタートした日です。
映画はパート2が大ヒット公開中、特番を作れば24.7%の高視聴率と
いまやテレビ朝日のドル箱ソフトとなった「トリック」も第一シリーズの
オンエア時は深夜枠・低予算の”知る人ぞ知る”タイプのドラマでした。

毎度書いてますが7〜9月期は夏の長期休暇で在宅率が低下したり
野球のナイター中継や花火大会といったイベントも盛りだくさんなため
連ドラはどうしても視聴率が伸び悩む事が多く、この時期の連ドラは
ダメ元で実験的な作風のドラマが制作されたり、伸び盛りの若手の
初主演作品!とか初監督作品!なんてケースも多いのであります。

これは、まさに6年前の「トリック」にもそのまんま当てはまる訳ですが
今年は近年のナイター中継視聴率の長期低迷などが原因なのか
キャスティングを見る限り”いかにも夏向けの小品”といったムキの
作品はほとんど無いようで、ヘタをすると4月期よりも粒揃いの感も。

そんな、今期の結果しだいでは夏ドラマの流れが変るかもしれない
今年の7〜9月期連ドラの紹介をざっとしてみたいと思います。

月曜 21:00〜 「サプリ」(CX系)原作:おかざき真里
プロデュース:関谷正征 脚本:金子ありさ 演出:成田岳、川村泰祐
出演:伊東美咲、亀梨和也、瑛太、白石美帆、佐藤浩市、志田未来

あっという間にジャニーズを引っ張るスターに成長した亀梨和也君と
これまた「電車男」でヒロイン女優の地位を確立した伊東美咲の共演。
TV-LIFEによると”超多忙なオンナのサプリは年下のオトコ”だそうで
要するに「きみはペット」(松本潤、小雪)と同じタイプなのかな?てな感じ。
今が旬の二人が主演のCX月9枠、しかも王道の恋愛ドラマですから
よほどの事が無い限りコケる事はないでしょう。ワタシは見ませんが。

月曜・火曜 25:59〜 「アキハバラ@DEEP」(TBS)6/19〜
原作:石田衣良 演出:大根仁 脚本:河原雅彦 音楽:TUCKER
出演:風間俊介、生田斗真、星野源、小阪由佳、北村一輝、日村勇紀

実はこのドラマは、もうすでに6月19日から放映が始まってるんですが
「池袋ウェストゲートパーク」の石田衣良が原作で、演出を手がけるのが
「劇団演技者」「30min」「トリック」などでお馴染みの大根仁さん、とくれば
トリック大好き人間としては、いちおうチェックしないワケには参りますまい。

北村一輝のオタク演技を見るだけでも一見の価値はあると思いますが
日村勇紀(バナナマン)が出演してるのは「30min」の縁ですかねぇ。
実に味のあるカオの持ち主なのでドラマでももっと活躍してほしいですな。

火曜 19:00〜 「新桃太郎侍」(EX系) 原作:山手樹一郎
チーフP:田中芳之(TV朝日) P:川田万寿、上阪久和、横塚孝弘
脚本:奥村敏雄、岡本さとる、いずみ玲 監督:吉田啓一郎、石川一郎
山下智彦 音楽:中村幸代 主題歌:吉川晃司 制作:テレビ朝日、東映
出演:高島政宏、中村玉緒、冨田靖子、左とん平、ヒロミ、津村鷹志ほか

古くは市川雷蔵、里見浩太郎の主演でも映画化された時代劇ですが
何といっても高橋英樹のテレビ版(NTV系1976〜1981年)が有名な作品。
今回は高島政宏を主演に迎え「新桃太郎」としてスタートを切るワケですが
なんというか共演者がいろんな意味で微妙と言うかスゴイ面々ですな。

火曜 21:00〜 「ダンドリ。〜Dance☆Drill」(CX系)原案:長谷川晶一
企画:金井卓也、松崎容子 プロデュース:森安 彩、永井麗子
脚本:横内謙介 演出:小林義則、石川淳一 ダンス監修:前田千代
出演:榮倉奈々、加藤ローサ、森田彩華、西原亜紀、国分太一ほか

夏と言えば部活モノ!!という「ウォーターボーイズ」以降の伝統に従って
今年もCXが投入する部活モノの題材は、なんとチアリーディング。
加藤ローサが出演すると聞いていたので、てっきり彼女が主演なのかと
思っていたら、主役は榮倉奈々というドラマ初主演の新人女優さん。

さすがにちょっとビックリしたのでオフィシャルHPを覗いてみましたが
顔写真を見ても”正直、器量は十人並み”であまり華もないという印象。
ところが実際にドラマが始まってチアの衣装を着た彼女の姿を見てみたら
これが細身長身脚長で、出演メンバー中でも群を抜いてスタイルが良く
いったん動き出すと長い手足がとにかく目立つ、映えるのであります。

どのくらいスタイル抜群かというと、あの美少女モデル加藤ローサですら
並んでいるとチンチクリンに見えるくらいのモデル体型なのです。

実は、この榮倉奈々という女優さん、ワタシは全然知らなかったのですが
すでに”芸能界初の9頭身モデル”というキャッチフレーズでティーン向け
ファッション誌・セブンティーンの専属モデルとして活躍していると聞き
「なるほど」とナットク。笑顔も邪気が無く、動くと魅力の出てくる人ですな。

その他の出演者も”いかにも夏ドラマ”といった風でフレッシュな配役。
この中に5年後の大女優を探すのも夏ならではの楽しみであります。

火曜 22:00〜 「結婚できない男」(KTV)
P:安藤和久(関西テレビ)、東城祐司(MMJ)、伊藤達哉(MMJ)
脚本:尾崎将也 演出:三宅喜重、小松隆志、植田尚
出演:阿部寛、夏川結衣、国仲涼子、塚本高史、高島礼子ほか

いわば阿部寛・単独主演復帰第一作となった「アットホームダッド」と
プロデューサー、演出、音楽、主演と、ほぼ同じ体制で制作される。
「トリック」「ドラゴン桜」「最後の弁護人」など、エキセントリックな役で
当たり役が多い阿部さんにしては珍しいフツーの中年男の役ですが
こういうものもキッチリこなしてこそ一流といったところでしょうかね。

トレンディドラマ風味のゆるいコメディなので特に新鮮味はありませんが
「七人の女弁護士」と同じ人が書いてるとは思えないほど脚本が秀逸。
阿部さん演じる結婚できない男の性格の歪みっぷりとキモチ悪い髪型も
絶妙にリアルで説得力があり、笑いとシリアスの配分もいいバランス。

水曜 21:00〜 「PS羅生門〜警視庁東都署」(EX系)
原作:矢島正雄、中山昌亮 脚本:矢島正雄 チーフP:松本基弘
P:大川武弘(テレビ朝日)目黒正之(東映)土田真道(東映)
監督:阿部雄一、五木田亮一、藤岡浩二郎 制作:東映・テレビ朝日
出演:木村佳乃、舘ひろし、森本レオ、伊藤四郎、佐野史郎ほか

原作、脚本を手がける矢島正雄さんは元々ドラマの脚本家としても有名。
この枠のドラマは「相棒」など意外と根強いファンを持つ作品が多いが
CMを見る限り「西部警察」寄りの「特命!刑事どん亀」みたいに見える。

水曜 22:00〜 「CAとお呼びっ!」(NTV系) 音楽:大島ミチル
P:加藤正俊 脚本:梅田みか 演出:大谷太郎、南雲聖一
出演:観月ありさ、谷原章介、香里奈、佐藤江梨子、川原亜矢子ほか

日テレ水10の新作スタッフはご覧の通り脚本の梅田みかさんを除いて
プロデューサーから音楽まで「ごくせん」を手がけたスタッフが勢揃い。
ちなみに梅田さんも「お水の花道」シリーズの脚本を手がけた人物で
完全に加藤正俊プロデューサーの人脈といった風情のスタッフ構成。

おまけに主演が「ナースのお仕事」の観月ありさ!!と来れば
内容も「お水の花道」+「ナースのお仕事」+「ごくせん」てな感じに。

そのせいか完全に”10年前のCX・共同テレビジョン制作ドラマ”といった
雰囲気の作品になっており、そのイヤな具合の古臭さがいたたまれない。

木曜 20:00〜 「新・科捜研の女」(EX系)
プロデュース:井土隆、菊地恭(TV朝日)手塚治、小野川隆(東映)
脚本:櫻井武晴、戸田山雅司、岩下悠子 監督:辻野正人、橋本一
藤岡浩二郎、森本浩文 制作:テレビ朝日、東映
出演:沢口靖子、小野武彦、内藤剛志、深浦加奈子、加藤たか子ほか

今回で、なんと通算7シーズン目?に入るテレビ朝日系の密かな人気作。
しかしこの作品といい「はぐれ刑事」といい「相棒」といいテレ朝の連ドラは
1発目が当たると続編が出来る確率が他局と較べて高い感じがしますな。
そういえば「トリック」も「富豪刑事」も「特命係長・只野仁」も・・・・

木曜 21:00〜 「下北サンデーズ」 (EX系)原作:石田衣良
P:桑田潔 脚本:河原雅彦ほか 演出:堤幸彦、丸毛典子ほか
出演:上戸彩、佐々木蔵之介、佐田真由美、竹山隆範、石垣佑磨
古田新太、山口紗弥加、ケラリーノサンドロビッチ、大島美幸ほか

原作が「IWGP」の石田衣良、脚本は河原雅彦、そして演出が堤幸彦。
と「IWGP」の石田衣良と堤幸彦が再びタッグを組んだ!のがウリの
テレビ朝日のドラマという、なんともビミョーな立ち位置の作品(笑)

原作・演出・脚本と、スタッフの構成が「アキハバラ@DEEP」とほぼ同じ
というあたりも見どころになりそうな気はしますが「トリック」の桑田Pと
堤カントクの作品でもありますし、下北沢の小劇団が舞台という設定も
興味深く、小劇団には強い堤カントクだけにキャスティングも良い感じ。

アキバ系ワールドを扱う「@DEEP」に対して、こちらは下北に巣食っている
”エンゲキな人”を取り巻くDEEPな世界を面白おかしく垣間見せてくれそう。
小劇団という狭い世界が舞台なだけにお客を選ぶ作品になりそうですが
いつも通りの堤ワールド全開で、作品のクオリティも決して低くは無いッス。

しかし主題歌がフミヤートなのがちょっとなぁ・・・

木曜 22:00〜 「花嫁は厄年ッ!」 (TBS)原案:「奥様は毒舌」
P:志村彰、三田真奈美 脚本:秦建日子 演出:池添博、谷川功
篠原涼子、矢部裕之、松嶋尚美、小沢真珠、岩下志麻、小山慶一郎

今、まさに旬の女優の篠原涼子がTBS連続ドラマに初主演!!!

・・・は、いいんですけども人気キャスターが年齢が30過ぎだからって
理由だけで突然看板番組から降ろされるなんて事があるんだろうか?
不祥事を起こしたわけでも無いのに、いきなりバラエティに異動って。
突然、彼氏にフラれたのも全部”厄年”で片付けるハラなのだろうか?

おまけに福島の桃農園の長男、安土一郎役に関西弁の矢部浩之。
HP見たら「3年間の関西出張から関西弁になってしまっている」だって。
なんでそんなムリのある設定にする必要があったのだろうか?

別に桃農園だったら岡山あたりだって良いだろうし、舞台をどうしても
関東圏にする必要があったならドラマ経験のほとんどないヤベッチを
安土一郎役にキャスティングする必要は無かったんではあるまいか?

てか、なんで一郎の実家が桃農園じゃなくちゃいけなかったのか?
スポンサーの関係なのか?まさか安土って苗字だから桃なのか?
そんな「ギンザの恋」と同じ匂いがする作品。と不吉な事を言ってみる。

木曜 22:00〜 「不信のとき〜ウーマンウォーズ」(CX系)
原作:有吉佐和子 プロデュース・脚本:栗原実和子
プロデュース・演出:林徹 演出:大木綾子、谷村政樹
出演:米倉涼子、松下由樹、石黒賢、杉田かおる、石田純一ほか

最近はCMやドラマでもヘタすりゃお母さん役も増えてきた松下由樹が
久しぶりにグラマーボディを強調したセクシー衣装でHPを飾ってます。
脚本が不信のひとなのであまり期待はしてませんが一応見てみました。
なんでアンルイス?FU-WAFU-WA♪ってなに?そしてなんでまた書道家?

金曜 21:00〜 「レガッタ」 (ABC放送) 原作:原秀則
企画:五十嵐文郎(テレビ朝日) チーフP:深沢義啓(朝日放送)
P:三輪祐見子、中込卓也(テレビ朝日)奈良井正巳(朝日放送)
中山秀一(5年D組) 演出:新城毅彦(5年D組)高橋伸之(TV朝日)
脚本:江頭美智留、清水友佳子 音楽:大島ミチル
出演:速水もこみち、相武紗季、松田翔太、若槻千夏、東幹久ほか

こちらは、まさにブレイク寸前!というかすでにブレイク気味の二人
速水もこみち君と相武紗季ちゃんが出演する青春スポーツドラマ。
プロデューサー4人にチーフP一人に企画までいて誰が舵を取るんだろ?
「電池が止まるまで」を髣髴とさせるスタッフ構成もいささか不安を感じる。

金曜 22:00〜 「タイヨウのうた」 (TBS)
P:津留正明、植田博樹 脚本:渡邊睦月 演出:今井夏木ほか
出演:山田孝之、沢尻エリカ、松下奈緒、田中圭、竹中直人ほか

個人的にはTBS、金10枠といえば”難病枠”という印象がありますが
今回もどうやら”難病モノの純愛モノ”みたいですね・・・・・・・ゲップ。

金曜 23:15〜 「黒い太陽」(EX系)7/28〜原作:新堂冬樹
プロデュース:藤本一彦 脚本:樫田正剛 演出:麻生学ほか
出演:永井大、伊原剛志、井上和香、吹越満、酒井若菜、田中要次

今週まで共同テレビ色丸出しの「ビバ!山田バーバラ」を放送していた
金曜ナイトドラマ枠の新作はキャバクラのボーイの出世物語だそうな。
これは色んな意味で井上和香ちゃんに注目すべき作品でしょうな(笑)

土曜 21:00〜 「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」(NTV系)
P:河野英裕、山本由緒(日本テレビ)山内章弘、佐藤毅(東宝)
協力P:小泉守、下山潤(トータルメディアコミュニケーション)
企画協力:明石竜二(ミレニアムピクチャーズ) 企画:東宝
脚本:大森美香 演出:佐藤東弥、佐久間紀佳ほか
出演:長瀬智也、手越祐也、田中聖、新垣結衣、香椎由宇、市村正親

喧嘩はめっぽう強いが頭の中身は小学生なみのヤクザの若頭が
組を継ぐために年齢を10歳ごまかして高校に入学しちゃう!!
というストーリーで、主演はソノ手の役柄の若手第一人者・長瀬君。

今回はずいぶんストレートに「ごくせん」をインスパイヤした感じですが
極道女教師を極道男子生徒に変えただけでなく、和風の一家だった
黒田組と差別化を図るべく、組の名前はその名も関東鋭牙(エーゲ)会。
実家の建物はコルシカ島あたりにありそうなマフィアの豪邸の雰囲気。

鋭牙(エーゲ)会のボスに”四季のジュリー”こと市村正親という配役や
年齢的には生徒役が正しい香椎由宇のインテリ教師役も好印象ですが
真喜男の清々しいまでのバカっぷりやプリンが大好物という設定は
このテの役柄では右に出るものがいない長瀬君だからこそ生きており
「ごくせん」と良く似た設定ながら、その手の加え方のバカバカしさと
演出の徹底ぶりから土9枠らしい理屈抜きで楽しめる作品になってます。

土曜 25:25〜 「土曜ミッドナイトドラマ〜快感職人」(EX系)
原案:吉野多万実 チーフP:桑田潔 P:樽井勝弘、柳川由起子
井口喜一 脚本:今井雅子 演出:都築淳一、小山田雅和
木内麻由美 音楽:大河内元規 制作:テレビ朝日、共同テレビ
出演:尚玄、斉藤翔太、倉貫匡弘、木村昇、蒼井そら、ほか

”天使の指先”の異名を持つカリスママッサージ師・神宮司直樹(尚玄)が
そのマッサージテクニックで都会に疲れた女達の身体をほぐし、ついでに
心もほぐしちゃう!!・・・という作品で、第一話のゲストが及川奈央である
あたりから匂う通り、青年誌、もしくはレディスコミック系の深夜向きドラマ。

日曜 「功名が辻」 20:00〜20:45 (NHK) 原作:司馬遼太郎
脚本:大石静 P:大加章雅 音楽:小六禮次郎 演出:尾崎充信
出演:仲間由紀恵、上川隆也、舘ひろし、西田敏行、武田鉄矢
前田吟、柄本明、香川照之、浅野ゆう子、生瀬勝久、名高達男
大地真央、和久井映見、三原じゅん子、永作博美、筒井道隆
長谷川京子、乙葉、成宮寛貴、玉木宏、長澤まさみ、宅麻伸ほか

「本能寺」で最高視聴率24.1%と更新してからも高視聴率をキープ。
一豊と千代の物語も織田の時代から豊臣の時代へ移るワケですが
どうも最近は「利家とまつ」のような歴史改竄が目に余る気がします。

作劇上ある程度は止むを得ないとしても、歴史に異変のあるところ
いるはずの無い一豊と千代がもれなく現れては絡みに絡みまくり
いつの間にか”歴史の影に山内あり”になってるのはいかがなものか。

無い話を作るのはまだ良いとして史実を改竄するのはどうでしょう?
「戦国自衛隊」じゃあるまいし、いちおう歴史ドラマなワケですしね。

日曜 21:00〜 「誰よりもママを愛す」 (TBS)
プロデュース:八木康夫 脚本:遊川和彦 演出:清弘誠ほか
出演:田村正和、小林聡美、内田有紀、玉山鉄二、伊藤蘭ほか

TBSの日曜9時枠といえば「オヤジぃ。」「おとうさん」「夫婦。」など
「田村正和枠」と言っても良いぐらい作品を残している田村さんですが
実は最近の作品は、すべてプロデュース:八木康夫、脚本:遊川和彦
演出:清弘誠、主演:田村正和という体制で制作されています。

往年の銀幕スター坂東妻三郎の三男で、先日急逝した田村高廣の弟。
生まれた時から芸能界で育ち、現役の映画・テレビスターでもありながら
私生活は今もって一切秘密のベールに包まれているという、今どき珍しい
スターらしいスター・田村正和を1984年にコメディ「うちの子にかぎって」で
ほぼ初めて普通の中年男役に抜擢したのが八木康夫プロデューサー。

そもそも「オイオイ田村正和が普通のオジさんやってるよ!」というだけで
掴みはOKだったのが「うちの子にかぎって」とか「子供が見てるでしょ」とか
「パパはニュースキャスター」というプロデュース:八木康夫、脚本:伴一彦
主演:田村正和で制作された一連の80年代TBSドラマだったワケですが

近年のテレビドラマでは「眠狂四郎」や「ニューヨーク恋物語」のような
田村正和本来のニヒルな役より、普通のオジさん役の方が増えたため
当時のように「田村正和がオジサンやってればOK」なんて事は無くなり
ここ数年の出演作では、純粋にドラマのデキが成否を分けている。

しかし、田村正和の妻役に奥様のアイドル・黒木瞳ってのは良いとしても
伊藤蘭とか森山良子ってのはバランスが取れてなくないだろうか?
この人たちのドラマの代表作って思い浮かばないんですが。


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