神様もう少しだけ

1998/7/7〜9/22 (CX系) 連続 全12回
火曜 21:00〜21:54(初回・最終回は21:00〜22:09)

【プロデューサー】

小岩井宏悦

【演出】

武内英樹・田島大輔

【脚本】

浅野妙子

【主題歌】 

『I for you』 LUNA SEA(ビクター)

【挿入歌】 

『In the Sky』、『きらら』 工藤静香(ポニーキャニオン)

【出演】

石川 啓吾(いしかわけいご) ・・・・・・ 金城 武

叶野 真生(かのうまさき)  ・・・・・・・・ 深田 恭子

日比野イサム(ひびのいさむ) ・・・・・ 加藤 晴彦

瀧村 カヲル(たきむらかおる) ・・・ 仲間 由紀恵

織田 麻美(おだあさみ)    ・・・・・・・ 矢沢 心

叶野 義郎 (かのうよしろう)  ・・・・・・ 平田 満

叶野 弥栄子(かのうやえこ) ・・・・・・・・ 田中 好子

野口 孝明(のぐちたかあき) ・・・・・・・・・永堀 剛敏

久保 隆(くぼたかし) ・・・・・・・・・・・・ 東根作寿英

叶野 悟(かのうさとる) ・・・・・・・・・・・ 佐々木 和徳
                  (10話〜) 鳥居 紀彦

平塚医師         ・・・・・・・・・・ 伊佐山 ひろ子

有田佳克(ありたよしかつ) ・・・・・・・ 益岡 徹

瀧村 リサ         ・・・・・・・・・・ 宮沢 りえ

【ストーリー】

平凡な女子高生、叶野真生(深田)は間近に迫った
カヲル(仲間)のコンサートを楽しみにしていた。

実は、真生はカヲルのファンである以上に
彼女のプロデューサーである石川啓吾(金城)の
熱狂的なファンで、彼の才能に心酔していた。

しかし、当の啓吾は深刻なスランプに陥っていた。

富、地位、名誉、女・・欲しい物が全て手に入るように
なっても、あべこべに彼の心は空虚になるばかり。

作品を書くことの意味を見失った啓吾は
半年以上も新作を書くことが出来ないでいた。

そんな啓吾にカヲルは遠慮ない批判を浴びせる。
しかし、それは彼女の彼に対する愛情の裏返しだった。

カヲルは作品を書かない啓吾に対してレコード会社から
契約打ち切りの話が来ていた事を知っていたために
作品を書こうとしない啓吾に対して苛立っていたのだ。

そして、その原因が彼の元恋人で自分の姉でもある
リサ(宮沢)の死にある事をカヲルは知っていた。

そんな事を知らず、カヲルのコンサートを楽しみに
していた真生はコンサートの前日、電話ボックスに
コンサートチケットを置き忘れてしまう。

どうしてもコンサートに行きたい真生は
チケットを買い直す費用を稼ぐために
生まれて初めて見知らぬ男(永堀)と寝る。

援助交際で手に入れたチケットでコンサートを見た真生は
帰り道で啓吾の乗るワゴン車を発見しこれを追いかける。

啓吾にとってはよくある光景に過ぎない筈だったのだが
彼は、ほんの気まぐれから真生を車に乗せる事にする。

そして二人は彼のマンションで一夜を共に過ごす。

真生は連絡先も告げずに啓吾のマンションを離れるが
真生に興味を持った啓吾は彼女の残したメモを見て
自分から連絡を取り、もう一度、真生と会う約束をする。

啓吾から連絡を受けた直後、真生は交通事故に遭い
医師(伊佐山)のすすめで念のため血液検査を受けるが
その検査でHIVに感染している事が判明する。

自分が不治の病に冒されている事を知り驚愕する真生。

感染源は啓吾なのか?それとも・・・・

【感想】

放映当時、現役女子高生であった清純派アイドルの
深田恭子が、援助交際でHIVに感染する役という事と
金城武の日本での連続ドラマ初出演作品という事が
話題を呼んで高視聴率を叩き出した作品です。

ボクは恋愛ドラマの道具として『エイズ』という病気を
選んだ時点で、このドラマを見る気がなかったので
放映当時は一度もこの作品を見ていなかったのですが

仲間由紀恵さんとしては、CX系のプライムタイムの
連続ドラマではレギュラーとして初出演となった作品で
オープニングでも4番手に名前が挙がる大役でした。

噂の金城武さんとの初のキスシーンなどもありましたが
とりあえず瀧村カヲルこと仲間由紀恵のライブ映像が
見られた事に大満足です!!もうサイコウですね!!

なんてウソじゃー!!

なんじゃ!あのカーリーヘア−!!

なんじゃ!あのケバいメイク!!

正直、この瀧村カヲル役は当時の仲間さんにとって
少々背伸びしすぎの感があるのは否めません。

この年の春に高校を卒業したばかりで、代表作といえば
『ラブ&ポップ』くらいしかなかった当時18歳の仲間さんが
売れっ子シンガーで、自信と才能に溢れたカヲルという
大人の女性の20〜25歳?の人生を演じるという時点で

想像では補い切れない部分が多々あったのは明白で
かなり難しい役どころだった事は想像に難くありませんが
そういった事情を一切無視して単純に演技として見ると

正直、ものすごい大根役者ぶり。

カヲルは啓吾の事をひそかに慕っているワケですが
同時に非常にプライドも高い大人の女性なので
啓吾に対しても媚びるようなそぶりは一切見せません。

しかし仲間さんの演技は
いかにも一杯一杯でして。

3話の啓吾のマンションでキスをされそうになる場面でも
大きく目を見開いたまま能面のように無表情という
とても大人の女とは思えない表情になっていますし

5話で酔って啓吾のマンションにやってくるシーンでも
啓吾の胸を叩く場面で、あからさまに力が入っておらず
非常に中途半端な酔っ払いぶりを披露しています。

目線は常に泳ぎ気味で、誰と話しているのか
分からなくなるような場面もしばしば見られます。

セリフの演技も、相変わらず一本調子の甲高い声で
まくし立てるだけで、あまり進歩が感じられません。

基本的に、この頃の仲間さんは表情の演技と比べて
身体を使った演技やセリフの演技はさらにイマイチで
『トリック』までの演技には、あまり変化がありません。

当時の仲間さんの甲高い一本調子な声は、余りに幼く
カヲルの外見から受けるイメージともかけ離れているため
下手すると『ラブ&ポップ』の時の方が上手く聞こえます。

ただ、カヲルには、どうしてもヒロインの真生ほど
内面の描写に時間をかけてもらえていないため
短いシーン、短いセリフで、彼女の内面の葛藤や
心の揺れを表現しなければいけなかったという
ハンデがあったのも事実だと思いますし

仲間さんは目鼻立ちがハッキリとした顔立ちで
基本的には『派手なメイクの映える童顔』という
白人の子供みたいな顔立ちをされているのですが

この番組の収録当時は、まだ頬がふっくらしていたり
アップになるとニキビ痕がハッキリ映っっていたりと
まだ、彼女の顔がしっかりと固まっていなかったため

序盤の派手なカーリーヘアーが、メイク全体のバランスを
明らかに崩してしまい、小学生の女の子にドギツイ化粧を
施したような奇異な印象を与えてしまっています。

最終的には5年後の話になるので、そこから逆算したの
かもしれませんが、最初から10話以降のメイクだったら
かなり序盤の印象が違ったのではないかと思います。

ただ、仲間さんの演技の酷さだけが目立つかというと
そうでもなく、作品の内容自体も相当な酷さです。

真生というヒロインは自分のした事は棚に上げて
他人の事は言いたい放題というあきれた娘なので

こんな娘に差別の不当性を訴えられても
居直り強盗に説教されてる気分で
まったく共感なんか出来ません。

さらに、さんざんエイズ発病の恐怖を煽っておいて
ワケの分からん理由で真生は死んでしまうのですが

これでは、なんのためにHIV感染を
テーマとして扱ったのか分かりません。

姉の死後、自分の気持ちを抑えて啓吾の側に身を置き
常に彼の事を気遣い、見守ってきたカヲルにとって
突然現れて、自分の都合ですべてを引っ掻き回す真生が
邪魔者に見えるのは、しごく当然の事だと思うので

カヲルが真生にどんな意地悪をしても
『もっとやれ。』としか思えません。

そもそもボクには、何で啓吾がカヲルじゃなくて
真生を選ぶのかが、まったく理解できません。

『自分は姉の身代わりでも良い』とまで言うカヲルに比べて
真生は金のためなら援交するのも悪いと思わないくせに
母親の不倫は徹底的に糾弾するような身勝手女です。

子供だって、HIVに感染する恐れがあろうがなかろうが
自分が産みたいと思ったら産んでしまうようなヤツです。

真生は純粋(ピュア)というより
本能に忠実なだけだと思うのですが。

真生は全体を通して『根拠のない自信』に満ちていて
この年代の女の子にありがちな『過剰な自己肯定』が
彼女の行動パターンに上手く表現されていますが

問題なのは、真生の過剰な自己肯定による妄想が
すべて周囲の大人によって認められてしまう事です。

そんなにギャルの視聴率が欲しいのか?

おまけに真生の病気の進行が異様に早いのも
発症した真生の病気の進行が止まってしまうのも
生まれた子供がHIVに感染していないのも

全部”特別なケース”という
逃げ道で解決という安直ぶり。

結局のところ、この作品はたとえ視聴率が良くても
作品として良いは限らないという見本のようなドラマです。

というワケで、ここまで文句ばかり書いてきましたが
1話中盤のカヲルのコンサートのシーンでの演技は
仲間さん自身も歌手としてライブイベントを何度も
体験されているだけあってなかなか堂に入っています。

仲間さんのライブを見たことのないボクとしては
このドラマで唯一の収穫と言って良いシーンです。

まぁ、歌は吹き替え
なんですけどね。

ところで2話でカヲルがスタジオで練習しているシーンの
「In the Sky」は仲間さん本人の歌声じゃないでしょうか?

モドル

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